美しく生きるということ――がんサバイバーの1人として

§7 共にがんを生きる仲間として


がんであれ、他の病気であれ、最終的にそれを治すのは、患者さんご本人の治癒力です。私たちは、それを助ける強力な味方にはなれますが、実際に治癒への扉を開けるのは、あくまでもご本人なのです。

また数ある治療法のなかからどれを選択するかもご本人次第です。もちろん私たちは必要と思われる情報を可能な限り提供し、最善と思われる治療法のご提案もいたします。

いうまでもなくどんなアドバイスも決して強制ではありません。どの情報を重く受け止めるか、そもそも誰に相談するかということも含めて、最終的に決定するのも、そしてその選択に責任をもつのも、ご本人です。

一般の医師は、「手術したほうがいい」「抗がん剤で抑えないと…」、あるいは「もう手遅れです…」と、いろいろなことを言うかもしれません。

たとえ専門的な立場からどんなに強く言われようと、結局は本人がそれをどう受け止めるか、です。余命を宣告されて、それをそのまま受け入れて諦めてしまうのも、あるいは他の道を探して闘うのも、あるいは治療よりもQOLを重視して残された時間を大切にしようというのも、すべて患者さんご本人が主体的に決断すべきです。

そして、どんな選択をしたとしても、それに自信をもって、誰のせいにもせず、後悔しないでほしいというのが私の心からの願いです。観客席から声援を送ったり、ベンチから指示を出したり、共に作戦を立てたりはできても、フィールドで実際にプレーするのはあくまでもご本人であり、誰もその役目を代わることはできません。

もちろん決断するまでは、思いっきり悩んで、たくさん悩んで、いろいろ調べて、相談してください。あなたが信頼する人、あなたを守りたいと考えてくれる人に頼ってください。私たちも、その中のひとりになりたいと思っています。

病気に対して主体的に向き合うといっても、決して孤独な戦いをしなければならないわけではありません。共に闘う仲間も、応援団も、プロフェッショナルなアドバイザーも、たくさんいます。

そうした人たちをつなげて、情報を共有し、がん闘病を支援するための組織として、私は自らが会長となり「がんサバイブの会」を起ち上げる予定です。

「がんサバイブの会」は、がん患者を初め、そのご家族、医師、研究者など、がんに関わるすべての人が集うことのできる公益的なコミュニティです。