§4 美しさとは「姿勢・身のこなし方」

お金もなく、ただ情熱や理想だけで起ち上げたような会社でしたが、「売れる商品」よりも「満足してもらえる商品」「喜んでもらえる商品」を目指して商品開発を続けた結果、数年のうちに事業は軌道に乗り、日本全国でたくさんの取扱い店ができました。
さらに、台湾や韓国、香港、マレーシア、インドネシアなどへの海外進出も果たし、そこでも一気にブレイクしました。
美容業界だけではなく、経済関係のメディアにも取り上げられるようになり、女性経営者として注目を集めました。
急激な成長、海外進出によって、会社の規模は一気に拡大しましたが、初めから上場を目指していたということもあり、私自身には決して浮ついた思いはなかったと思います。
とにかく私たちの商品を着けた時のお客様の感動や喜びが、私たちのなによりの宝ものでした。多くのお客様が「私はこんなにキレイだった!」と、自分に対して自信をもてるようになっていきます。

そういうお客様を見ていて私が感じたのは、本当の美しさとは、“今のそのあなたの気持ちや心の動き、表情のほうにこそある”ということ。そのとき私は、美しさは、いわゆる「姿形そのもの」だけではなく、その動きのなかにこそ現れると気づいたのです。
それを一つの言葉でいえば「姿勢」ということになります。
「姿勢」には「勢い」という字が含まれるように、ただ、静止している時の姿形というより、何かに向かうための準備、動き、力の流れのような意味合いが含まれています。
英語のstyle(スタイル)は「流儀」とも訳されますが、そこには単に目に見える形だけではなく、精神的なニュアンスも含まれています。lifestyle(ライフスタイル)という言葉もあります。
美しさは、物理的な形だけでできているのではないということ、美しさの深みを、私は感じ始めていました。